反応(レスポンス)があった方にのみ、直接(ダイレクト)セールスをかけていくマーケティング手法だから、ダイレクトレスポンスマーケティング(Direct Response Marketing/DRM)と呼ばれています。
一般的にはあまり知られていない営業手法ですが、ダイレクトレスポンスマーケティングを正しく理解することにより、あなたを含めた個人や中小企業が広告費や営業経費を抑えて利益率の高い商売をすることが可能となります。実際、私はスタッフを1人も雇うこと無く億を超える売上を上げることに成功しています。
そんな私から、今回はDRMとはどんな営業手法なのか。また、現在の日本で派生した2種類の活用方法や、DRMを活用することでどのようなビジネスを行うことが出来るようになるのか?ということなどについて解説していきます。この記事を読み終える頃には、DRMの仕組みや、あなたがこれから始めるにあたって具体的に何をすれば良いのか?ということについて正しい知識が身についた状態となりますので、ぜひご期待ください。
1.ダイレクトレスポンスマーケティングとは興味がある人にのみセールスを行う営業手法のこと
冒頭でもお伝えした通り、ダイレクトレスポンスマーケティングとはあらかじめ広告や発信したメッセージに対して「問合せ」や「登録」などのレスポンスがあった方=商品に興味を持ってくれている見込み客だけに絞って直接セールスをかけていく営業手法のことです。飛び込み営業や不特定多数に対して営業をかけるのとは違い、営業する相手はあらかじめあなたの商品やサービスに興味を持っていることが分かっている方なので、効率性や効果は大幅に上がり、さらに営業のストレスもかなり少なくすることが出来ます。
また、多くの場合、レスポンス(反応)をもらうために「お試し品」や「無料プレゼント」「無料カタログ」といったものを無償提供する代わりに連絡先を残してもらいます。レスポンスの種類としては、以下のようなものがあります。
- 見込み客から自主的に電話をかけてもらう
- 見込み客から自主的にメルマガに登録してもらう
- 見込み客に自主的に会員登録してもらう
- 見込み客から自主的に問合せをしてもらう
- 見込み客から直接連絡先をもらう
etc…
営業をかける前に必ず上記のようなレスポンスをもらうことにより、あなたの商品やサービスに興味を持っている方だけを抽出(リスト化)し、連絡を取ることが可能となるのです。そしてもちろん、反応をくださる方はあなたの商品やサービスに興味を持っている方々ですから、営業をかけても嫌がられることはほとんど無く、むしろ当事者意識を持って熱心に営業説明を聞いてくれる状態を作ることが出来ます。
2.広告の手法・営業の手法としてのダイレクトレスポンスマーケティングの違いとは
ここまでに、ダイレクトレスポンスマーケティングとは営業手法の1つだとご説明してきましたが、厳密に言えば今日の日本では以下の2つの意味に分かれています。
① 「広告の手法」としてのダイレクトレスポンスマーケティング
② 「営業の手法」としてのダイレクトレスポンスマーケティング
どちらも「ダイレクトレスポンスマーケティング」という言葉の意味として正しいのですが、厳密に分けて考えた方が実践の際に結果を出しやすくなりますので以下で詳しく解説します。
2-1. ①「広告」の手法としてのDRMとは、見込み客をリスト化させるための戦略
広告の手法としてのダイレクトレスポンスマーケティングとは、広告上で見込み客の連絡先をもらい「リスト化」することを目的とした広告戦略のことです。これに対して、大企業がよく打っているマスマーケティング広告の目的は、自社のブランドイメージを植え付けたり、商品を認知してもらうためだけに広告を打ちます。
ダイレクトレスポンスマーケティングが日本に入って来たことで、マスマーケティング広告ばかりだった市場に「見込み客をリスト化する」という概念が生まれました。
2-2. ②「営業」の手法としてのDRMとは、リスト化した見込み客に商品の魅力を正しく理解してもらうための戦略
営業の手法としてのダイレクトレスポンスマーケティングとは、広告によりリスト化した見込み客に対して、価値観の擦り合せや詳細な情報提供を行いながら正しく商品の魅力を理解してもらうための営業戦略のことです。
①で「リスト化」させることにより、見込み客に断られない限りは継続的に連絡を取ることが可能となります。ゆえに、見込み客リストに対していきなり売り込みをするのではなく、時間をかけて価値観の擦り合せや詳細な情報提供を行うステップを踏むことで、ン十万円~ン百万円といった高額な商品であっても手堅く成約させていくことが出来る優秀な営業手法となっています。
「広告の手法」としてのDRMと「営業の手法」としてのDRMを合わせると、ダイレクトレスポンスマーケティングは以下の3ステップで構成されていると言えます。
- リスト化(集客)
- 情報提供・価値観の擦り合せ(教育)
- 営業(販売)
2-3.「リスト化→営業」のステップを踏むことで、効果を正しく把握することが可能に!
ここまでにご説明して来たとおり、ダイレクトレスポンスマーケティングでは必ず「リスト化」という工程を踏み、営業は必ずその後になります。つまりそのお陰で、営業をかけるための「見込み客の数(集客数)」を正しく把握できるようになったということです。
これにより、何人の見込み客に対してどういう営業をかけると、どれくらいの数の方が購入してくれるのか?という部分を完全に数値化し把握することが可能となりました。
マスマーケティング広告のように、自社のブランドイメージを植え付けたり、商品を認知してもらうためだけに広告を打っても、その広告がどれだけ優れているのか。また、改善点がどこにあるのかということは分析することが困難でした。しかし、ダイレクトレスポンスマーケティングの場合、ここが数値化できるゆえに簡単に分析することが出来、個人や中小企業のマーケティング担当者でもどんどん改善を図っていくことが可能となったのです。
3.ダイレクトレスポンスマーケティングの3つの事例
ダイレクトレスポンスマーケティングのイメージをより具体的なものにするために、「リスト化」から「営業」をかけていくプロセスの事例を3つご紹介します。
3-1.メールアドレスを取得して、そこで情報提供しセールスをかけていった例
ウェブの広告
ダイエットのやり方を解説したPDFマニュアルをプレゼントする代わりにメールアドレスを登録してもらうように促した。
無料で配布したダイエットマニュアルのノウハウを、直接的にサポートするためのパーソナルトレーニングジムのコースを販売した。
3-2.電話問合せを受けて、そこで情報提供しセールスをかけていった例
テレビCM
化粧品の無料サンプルを送って欲しい方が電話をかけてくれるようCM内で促した。
電話内で12ヶ月の継続コースの案内をした。初回に12ヶ月の継続コースを申し込んだ場合にのみ10ヶ月分の料金で申し込める旨を案内。
3-3.既存客にキャンペーン参加してもらい、そこで情報提供しセールスをかけていった例
既存客リストに対して送付したメルマガ内
パーソナルトレーニングジムの顧客に対して、海外より入ってきた最新型のダイエットマシーンの無料体験キャンペーンを開催。キャンペーン参加希望者には、メルマガ内の特定のリンクをクリックしてもらうように促した。(この時、リンクをクリックした方だけが「応募済み」となり、後日体験希望者限定のメルマガを送付できるようにした)
無料体験に訪れた方に対して、最新ダイエットマシーンを継続的に使い痩せていくためのコースを販売した。
上記3つの事例をご覧頂くと、ダイレクトレスポンスマーケティングの「リスト化」から「営業」をかけていく流れがイメージしやすくなると思います。ただし、ダイレクトレスポンスマーケティングの醍醐味は、実は「営業の仕方」にあります。
したがって、次は「営業の手法」としてのダイレクトレスポンスマーケティングについてさらに詳しくご紹介していきます。
4.ダイレクトレスポンスマーケティングの醍醐味は営業の仕方にあり!
広告の手法としてのダイレクトレスポンスマーケティングにより見込み客を「リスト化」したら、次はその見込み客リストに対して営業をかけていくことになるということでした。DRM式の営業では必ず商品やサービスを売り込む前に、あなたの商品のことや、情報の発信者であるあなた自身のことをより知ってもらうステップを踏むようにします。
つまり、必ず以下の2ステップで販売に入っていくようにするということです。
<ステップ1>情報の提供・価値観の擦り合せ
<ステップ2>販売
この時に提供する情報としては、以下のような具合です。
ダイレクトレスポンスマーケティングを使った営業時に伝えるべき情報
- 製作者がどんな思いでその商品を生み出したのか
- その商品が他の類似商品と一線を画す箇所について
- その商品を手に入れることで、人生はどう変わるか(どう変わったか)
- その商品を手に入れなければ、この先どうなってしまうのか
- その商品は、どんな人にとって必要で、どんな人に必要がないのか
リスト化した見込み客に対していきなり販売に入るのではなく上記のようなことを丁寧に伝えてから販売に入ることにより、商品の魅力や必要性が正しく伝わり、購入率を大幅に上げることが可能となるのです。
5.ダイレクトレスポンスマーケティングの歴史
ダイレクトレスポンスマーケティングは、元々アメリカで生まれたマーケティング手法です。世界で初めて活用されたDRMは、ミシガン州で働く行商人である『アーロン・モンゴメリー・ウォード』が、1872年頃に日用品を農民に対して直接販売したことがはじまりです。
それまでは中間業者や問屋を介することでしか日用品を購入することが出来ず、膨大な中間マージンを乗せて売られている状態でした。しかし、アーロン・モンゴメリー・ウォードはメーカーや商品開発者が商品のリストを作成し、それ(カタログ)を使って直接消費者に販売活動を行うことで中間マージンを無くすことが出来ると考えたのです。その結果、消費者は通常よりも安く購入することが出来、メーカーや商品開発者は通常よりも多くの利益を得ることが可能となりました。
それから約100年が経った1998年頃、ダイレクトレスポンスマーケティングは神田昌典(かんだまさのり)という経営コンサルタントによって日本に持ち込まれました。これにより様々な日本企業や個人がDRMを取り入れ業績を上げました。そして、最終的に神田さん自身の著書にDRMのことが書かれたことで一気に広まることとなりました。今日の日本でダイレクトレスポンスマーケティングを知り、正しく活用することが出来ているのは、アーロン・モンゴメリー・ウォードと神田昌典さんのお陰と言えるでしょう。
最後に
ダイレクトレスポンスマーケティングは、広告費や営業経費を抑えながら、資本力が無くても大きな売上を上げられる「小さな企業や個人のため」のマーケティング戦略です。なぜなら、これからビジネスを始めようとされている方にとっては、初期の資本を無駄にせず確実に利益に転換していくことが求められるからです。
ダイレクトレスポンスマーケティングは、見込み客をリスト化することで絶えず連絡が取れる体制を整え、さらに広告の費用対効果や営業手法の効果測定を可能とすることで着実に改善していくことも出来るようになります。つまり、DRMは高レベルなスキルが必要なマーケティングというわけではなく、まだ力の弱い個人や小さな会社が愚直に成果を出すための堅実なマーケティングなのです。
正しく活用して頂くことで、あなたのビジネスの成功確率を大きくアップすることが出来ますので、ぜひまずは「リスト化するために何をするか」を考えるところから始めてみてください。
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