私の生徒さんにも会社に勤めながら副業でバリバリビジネスをされている方が沢山いますから、マイナンバーが施行された当初私も実際どうなのか心配していました。そこで、このことについて私の会社の税理業務全てをやっていただいている税理士さんに全て質問をぶつけてみました。
というわけで、なぜマイナンバーで副業がバレることは無いのか。また、その仕組や、実際にバレるとしたらどういう場合が考えられるのか?といったことについてご紹介をしていきます。
1.マイナンバーで副業はバレない!副業がバレるのは確定申告時にミス記入をした場合だけ
マイナンバーで副業がバレることはありません。しかし、マイナンバーが施行されたことがきっかけで、実際に副業がバレている人がいるのも事実です。では、その原因は一体何なのでしょうか。
1-1.確定申告時に「住民税の申告方法」を間違えると副業が会社にバレる!
確定申告の際に記入する『確定申告書B』という用紙には「住民税の徴収方法の選択」という項目があるのですが、ここのチェックを「自分で納付」に入れておけば、副業が会社にバレることはありません。しかし「給与から差引き」のほうに入れてしまうと副業がバレます。以下の画像にある箇所です。
「マイナンバーで副業がバレた」と言っている人の大半が、ここのチェックを間違えたことによるものです。なお、上記の選択項目の意味はこういうことです。
- 自分で納付(普通徴収と言います)…副業で増えた収入の分の住民税は自分自身で支払います!⇒会社に請求がいく住民税はお給料分のみ⇒副業(収入の増加)はバレない
- 給与から差引き(特別徴収と言います)…副業で増えた収入の分の住民税も会社の給料から天引きしてください!⇒会社に請求がいく住民税はお給料+副業で得た収入の分⇒副業(収入の増加)がバレる
上記のとおり、自分で納付をするようにしておけば、会社には収入の増加が分かる術は無く、マイナンバーが原因で副業がバレるということは無くなるというわけです。
ただし、上記は副業の収入の得方が「事業所得」or「雑所得」で収入を得ている場合の話です。副業の収入を「給与収入」で得ている場合には確定申告の方法に関わらず、会社給与からの天引きになることが多く、会社にバレる可能性が高くなってしまいます。
「自分で納付(普通徴収)」にした場合の住民税の支払い方法としては、収入を得た翌年に自宅宛に届く住民税の請求書を使い、3ヶ月分を4回に分けて、計12回分を支払うこととなります。
会社の給与からの差引きの場合は、住民税が12ヶ月分に分けられ、毎月給与から天引される形で住民税を支払うことになります。年4回3ヶ月分まとめて支払うことになります。
1-2.マイナンバーは確定申告漏れをあぶり出すだけの制度
そもそもマイナンバーとは、副業を公にしてしまうような制度ではなく、ただ単純に「確定申告漏れを防ぐために考えられた制度」だということです。マイナンバー(個人番号)について、総務省のウェブサイトには以下のような記載があります。
~中略~
- 今後、税や年金、雇用保険などの行政手続に使います
- マイナンバーの利用により、①税や、年金、雇用保険などの行政手続きに必要だった添付書類が削減され、これらの手続きでの皆様の利便性が高まります。
また、②行政事務の効率化や、③公平な各種給付の確保などが実現できます。
つまり、あくまでマイナンバーは「行政=『役所』」に対して、収入や貯蓄の情報を開示するだけのものだということです。そして、役所から会社などに直接連絡がいくこともありませんから、マイナンバー制度自体が副業をバラしてしまうことは無いということです。
しかし、1つこれまでと大きく変わったのは、マイナンバー制度の施行により「確定申告をしていない人が丸わかりになった」ということです。これにより、今までは「バレないだろう」と考えて確定申告をせず税金を支払っていなかった個人事業主の人々(会社に務めながら副業をやっている人も含む)が、確定申告を余儀なくされることとなりました。
これにより、前述した「住民税の徴収方法の選択」を誰もがすることになったわけですが、この時、これまで一度も確定申告をしていなかった人たちには記入方法がよく分かっていない人も多いので、「給与から差引きする」のほうにチェックを入れたことで会社に副業がバレる人が増えたということです。
「マイナンバーで副業がバレる!」と言われ始めた大きなきっかけの1つになったのが、「キャバクラ」や「クラブ」などの水商売の業界です。あれらのお店で働く彼女達の雇用形態は、店による「雇用」ではなく「個人事業主として契約する」形です。これによって、マイナンバー施行前は申告漏れをしている人がかなり大勢いると言われていました。
しかしマイナンバーによって必ず確定申告をしなければならなくなったことで、多くの水商売の女性が住民税の徴収方法の選択を間違えたままで確定申告をしてしまったのです。これにより、彼女達が昼間勤めている会社へと住民税が増えた状態で書類が届き、その結果、キャバクラ勤務がバレてしまった人が一時的に増えてしまったと…。これが水商売の女性達の間で口コミで広がり、「マイナンバーで副業がバレる」と言われ始めたきっかけの1つになったということです。
2.そもそも副業が禁止されていない会社もある
マイナンバーで副業がバレないことはお分かり頂けたかと思いますが、そもそも副業が禁止されていない会社も存在します。これは、勤め先の『就業規則』などを確認することですぐに調べることが出来ます。書類にて明確に禁止されている場合には内緒でやる必要がありますが、特に明確に言及されていない場合には、気にせず取り組める可能性があります。
以前、私の生徒さんにも、副業が禁止されていると思ってビクビクしながら副業をしている方がいました。彼の真面目さから「副業はいけないことなのでは?」という意識が働き、思うように副業に全力を出せずにいたのですが、会社の規定を調べてもらったところ特に言及されていませんでした。その事実を知ってからというもの、彼の意識が変わり、その結果副業に取り組む姿勢が変わり、見事収入を大きくアップすることが出来ました。
もちろん、実際に副業に全力で取り組んだところで、ウェブ上に本名や顔を出すわけでもないので、会社に副業がバレるようなことはありません。しかし、「さいあくバレても問題ないんだ」と思えたことで調子が上がることもあると思うので、気になるという場合には、一度就業規則を確認してみると良いでしょう。
最後に
マイナンバーが施行されたことで、「副業が出来なくなってしまったのか…?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、ご紹介したとおり心配無用です。確定申告の際、『確定申告書B』という用紙にある「住民税の徴収方法の選択」の項目を、「自分で納付」にチェックを入れるだけです。
また、副業が認められている企業も増えているので、確定申告のチェックミスすらも気にすることなく副業に取り組める場合もあると思います。ともかく副業に取り組み自らの手で収入を増やしていくことは、人生の選択肢を増やす上でとても重要なことなので、ぜひあなたも心配せず全力で取り組んで頂ければと思います。
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